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執筆者の写真いっきゅう

犬の気持ち

 相手の立場に立って考えてみる。  これは皆さんと一緒に生きていく上で、とっても大切なことです。

 だからといって僕たちはナカナカそれが出来ていません。

 とくに慌てていたり、心配などをして視野が狭くなっている時など。

 

 チャーリーチャップリンは

 「クローズアップで見ると悲劇。だけどズームアウトすると喜劇」と言ってます。



 やってる本人は「大変だ苦しい」って悲劇のヒロイン・ヒーローだけど、遠くから見るとそれは笑い話になったり、意味のある味わい深い物語になったり。

 


 時々は自分の視野が狭くなっていることに気がついて、視野が狭くなってると気がついた自分に◎をしてあげることをしたいものです。

 そして相手の立場に立ったり、俯瞰して物事を見ていく。


 そんな風に心を養っていければと思います。   


 こんなお話があります



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 とある金光さまの教会にいつもの方が電話をかけてきて、


「先生いつも犬の事をお願いしてすいません」


「いいよ、犬の具合はどうかな」と教会の先生。



 この電話の方は一人者です。

 離婚されて一人で生活していて、なにか苦労するたびに励ましてくれたり、慰めてくれたりするのが可愛がっている犬なんです。



 ところがその犬は、病気というよりも老犬になってしまって、いつ死ぬか分らんという状態。


 で、辛そうな様子をしているのです。



 飼い主とすれば、苦労を共にしてきた、自分がどれだけ励まされたか分らんという犬ですから、辛くてしんどくて、犬が喉をならしているのを見てたら可哀相で見ておれません。



「もうどっちみち良くならんのであれば、早い時期に神様に頼んで楽にさせてあげたい・・・。私はこの犬の世話になったが、世話になった犬が苦しそうにしてるのは、あまりにも辛い。本当にどないにもならん」


という気持ちで

教会の先生に 「神様に頼んでください」ということでした。


何遍同じことをいって来たか分らない。




飼い主

「先生、またいつもの事ですが、犬が泣きよる姿見たら可哀相で可哀相でなりません。神様によく頼んで下さい」


先生

「そうか、そんなに犬が苦しそうにしょうるか」



飼い主

「ええもう見ておれません」


先生

「そうか、けどあんたが見とってやらねば、あんたが世話になってる犬じゃからな」


飼い主

「そうです、それじゃから辛いんです。済みませんがちょっと犬の声を聞いてやってください」



と、電話を犬のそばへ持っていくわけです。



 教会の先生は黙って 犬が本当に苦しそうな声を出して荒い息をしている。本当に臨終のような声を聴いたそうです。




飼い主の人は、それをじいっと先生に聞かせておいて、


「先生えらい事でしょう、可哀相でしょう、私はこれをじいっと聞きよるんです。可哀相でたまらんのです」



先生

「よう聞いた、聞いたけどわしも犬の声よく分るがな、あんたは犬が可哀相な可哀相な言いよるけれどな、犬は苦しい言うて泣きよるんじゃないぞ。あれは。


 あんたうろたえておるぞ、勘違いしとる。犬は苦しそうに鳴きよるんじゃない」


飼い主

「そうですか、先生どういうふうに聞かれたか」



先生

「わしが電話口で聞いた限りでは、犬があんたに言いよるぞ


『わしゃもう何日ももたん、けれどもわしが死んだらあんなた一人になるが、あんた一人でやっていけるか、あんたの性分は付き合うてわしが良く知っておるが、あんた一人になってこれからよう生きて行くか、そのことを思うたらあんたの事が気になってわしゃ死んでも死に切れんが』


 こう言うてあんたに『元気出せ、元気を出せ』言いよるんじゃが。


 あんたそれが分らんかな? あんたうろたえておるなぁ」




飼い主の人は「へえっ」と電話口でびっくり驚いたとたんにハッとして、

先生の言った意味に気がついた。



飼い主

「先生の言う通りです。いつも犬の方が私のことを心配してるんです。今も向こうの方が可哀相な思うてくれているんです、先生ありがとうございました。しゃんとして元気出します」



 それでこの度は話が済んだとか。



 明くる日になって、この人からまた電話がかかってきました



飼い主

「先生、犬が息を引き取りました。先生の言うた通りです。

 やっぱり犬が私のことを心配して、死んでも死に切れん言いよったんですな、


 先生に言われてハッととして気がついて『わしの事なら心配しないでもいいぞ、わしの事なら心配しないでも良いからお前元気を出せよ』言うてやりました。


 そしたら今、息を引き取りました。えらい事ですな。犬も人間と一緒じゃな。先生は犬の声を聞いたら犬の心が分るんですなあ」


 もう泣き笑いのような状態で

「ありがとございました。これから丁重に葬ってやります。犬が言うてくれたようにわしも元気を出してやります」


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「信神するものは驚いてはならぬ」と教えにありますが、

 うろたえたら間違うんです、逆上したら反対の方向に走る。


 しかも どのような事が出てくるか分らないというような時には、悪い事もあるかもしれません。


 しかし良い事の方が実際多いのです。


 神様がして下さるからとにかく自分の心を静めて、自分の心を落ち着かせて、物事をじいっと見つめていく、そういう信神の姿がいるんです。


 そうしたら間違いなしに本当の事が聞えたり本当の事が見える。それで自分がはっきりして来る。



 はっきりして、「よく分りました。ありがとうございました」と気づかしてもらったら それがおかげにつながって行くのです。





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