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執筆者の写真いっきゅう

心をここに

 私が姉の家にお邪魔した時のことです。

 最近料理に凝りだした姉の手料理を「美味い!」と絶賛しながら、お義兄さんと晩酌を「まあどうぞ、どうぞ」と酌み交わす。風呂上がりにキンキンに冷えたビールは最高でした。

 

 そうしてる内に、学校から帰ってきた高校生の姪っ子がそのままお風呂へ。

 私は姉夫婦とワイワイ談笑しながらも、なかなか姪がお風呂から上がってこないものですから心配になり、「中で倒れてるんと違う?ちょっと様子を見てきたらどう?」と姉に言いますと、


「いつもこんなもんよ。あの子、スマホ持ってお風呂に入ってるから」と。


 スマホをお風呂の中に持って入って、映像や番組を見たり、音楽を聴いたり、時には友達とメールしたりしているそうです。

 (なんと、見ている映像も早送りにして見ていると言うではありませんか)


 せっかく、親が綺麗にお風呂掃除をして、お湯を張って、温泉の元まで入れて準備をしているのに。

 もうちょっとお風呂を楽しんでもらいたいなあと思いました。


 「今日の温泉の元は綺麗なピンク色だったね」とか、「バラの香りがした」とか言って、お風呂を味わってもらいたいものですよね。

 それがあったら、がんばってお風呂の準備をした甲斐もあるってもんです。


(私がお風呂の準備をしたわけではありませんが)





 現代人は忙しすぎる。

「生きるスピードが早い」と言えば聞こえが良いかもしれませんが、「焦ってあわてている」「落ち着きがない」と言っていいかもしれません。

 

なにか時間に追い立てられているような感覚に陥って、気がつけば携帯電話・スマホが手放せなくなっている。後で連絡すればいい事柄でも、「早く早く」「まだかまだか」というふうになって。



 今を生きているようで、「心ここにあらず」なんです。


 それは何も若者だけの話ではなく、神様から見たら「もっと今を味わって、感動して、喜んで生きていって欲しい」と現代に生きる私たち皆に対してそう思っているのではないでしょうか。

 私たちの心の中を覗いてみますと、

 今この瞬間を生きているようでいて、実は過去や未来のことを考え、「心ここにあらず」の状態が多くの時間を占めていることがけっこうにしてあります。

 

 せっかく神様が準備・用意してくださったものに気がつかずに、素通りしているのです。


 急ぐ足を止めて、足下の草花の美しさに静かな感動を味わってみませんか?

 木陰にたたずむと青田を渡る一陣の風は天然のクーラーで、とても心地良いです。心が嬉しくなりますよ。


 地に足を付けて、「今」を生きていきましょう。



道教えの大綱 1

 「今月今日で一心に頼め おかげは和賀心にあり」



 朝、目が覚めたら深呼吸。「今日一日神様とご一緒に」。

 また目が覚めて朝を迎えたら、深呼吸。「今日一日神様とご一緒にさせてもらったら安心です」と手を合わせ、心を合わせて、一日のスタートを始めさせてもらいましょう。



(追記)


 先日、テレビであるお医者さんが、

「コロナ禍で自粛ムードが漂い、なにか『楽しむのがいけないことなんじゃないか』と思ってしまうかもしれませんが、それはいけません。かえってストレスがたまって危険です。こういう中でも自分の楽しみを見つけて、楽しんでもらいたい。それがコロナ禍を生き抜くものになります。自分を守るものになります。」

という意味のことを仰っていましたよ。


 こういう時こそ、何気ない日常の中の感動・快感を取り戻していかねばと思うのです。


 今日という一日を、今というこの時間を意識して生きたら、素通りして見てないものが見えるようになってきて、もっともっと感動して生きていける。良いものがもらえるはずです。






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