先日、ある方が保険の見直しを行いました
誰もが利用出来る保険の相談窓口で担当者の人と一緒に 自分はどんな保険を必要としているか考えたそうです
改めて 認知症になったときの介護の保険はつけるか などなど
近い将来のことを話し合い 加入する保険を 決めていきました
その中で「死亡保障はどうするか」ということについて 窓口担当の人から質問された時
ふとこの人は
「保険はもちろん大事だけれど もっと大事なことがあるかもしれない」って
〈 徳を残す 〉ということについて思いを巡らしたそうです
徳を残す ということについて聞くと
僕はいつも『焼きものとお父さん』についての話を思い出します 今回はそれを紹介させて下さい
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その昔、焼き物関係の腕のよい職人さんがいました。
この方は熱心に御信神をされる方でしたから 仕事も熱心で 腕も立ちますし 行き届いた仕事をしますので
周りからも「この仕事は、この人でなければならぬ」と言われるほど
たいへん信用されるし 周りから一目も二目も置かれて おかげで繁昌しました
この方は備前焼の窯元での仕事をたくさんしておりましたから
その関係で積極的に収集するというわけではないものの 自分でもいろいろと良い焼き物を家に持っていたそうです
それで この方が亡くなりました後 若い跡取り息子は その焼き物の価値がまったく分かりません
たまたま仕事に来ていた目の肥えた人に見せましたところ その人がその作品の今の値打ちを正直に教えて
「これは大切にしなさいよ 今後、いくら値上がりするからん物ですよ こういうのは箱書きのついた箱も大事に持っておらねばなりませんよ コレはこうでコウですよ…」
とアレコレ親切丁寧に教えて下さったそうです
その後 そのアドバイスをしてくれた人が後になって こういうことを言ったのだそうです
「実はあの時… 嘘を言うて安い値段で買いたたいて それを自分が引き取ってどこかで本当の値打ちが分かる人に高く売りつけたり 自分のモノにするということは分けないことだった
けど アナタのお父さんのことを思うと 息子のアナタをだますような嘘がとてもじゃないが言えなかった」
と
このことを通して息子さんは
高価な焼き物を父親から受け取っただけではなく
お父さんの 親切で誠実な生き方をありがたく思い ますます慕う気持ちが深くなって 自分も父親の信神を見習おうと 後に続いたと伺っています
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西郷隆盛の言葉で「子孫に美田を残すな」っていうのがあるのだとか
(子孫のために財産を残すと それに頼って努力をしないので財産を残さない という意味)
西郷さんの揚げ足を取るつもりはありませんけれど
後の者のことを思って 良いものは残すべき と 僕は思います
けれども そこで大事になってくるのは
後の者が財産を生かして使えるかどうか ということではないでしょうか
僭越ながら申しますと
つまり 教養 や 生き方 思いやり などなど を後に渡せているかどうかが大切だと思うのです。そしてそのヒントは上記のお父さんのあり方にある。
皆さんは 良い者を残すために 今日は何をしますか?