『父親と焼き物の話』
- いっきゅう
- 2月10日
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Yさんは良い職人でありました。
ご信神な人でしたから仕事熱心で腕も立ち、行き届いた仕事をするので信用され、Yさんでなければならぬとお陰で繁盛しました。
Yさんは備前焼の窯元での仕事をたくさんしていましたから、いろいろ良いものを持っていました。
Yさんが亡くなりました後、若い跡取りはその焼き物の価値がわかりません。
たまたま仕事に来ていた目の肥えた人に見せましたところ、その作品の今の値打ちを正直に教えて「大切にしなさい。いくら値上がりするかわからぬ」と忠言してくれました。
その後、その人は「Yさんのことを思うと、息子さんを騙すような嘘が言えなかった」と言っていたそうです。
才崎教会「みき」一七一号(昭和四九年三月号)より抜粋
この父親の姿が私の師匠の姿に重なりました。
師匠の教会の皆さんやお仲間達が、今も損得抜きに私にいろんな事を教えて下さいます。
それは皆さんが先生を慕う思いがあってのもの。
私も先生にして頂いたことを人にお返ししていきます。