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『父親と焼き物の話』



 Yさんは良い職人でありました。


 ご信神な人でしたから仕事熱心で腕も立ち、行き届いた仕事をするので信用され、Yさんでなければならぬとお陰で繁盛しました。



 Yさんは備前焼の窯元での仕事をたくさんしていましたから、いろいろ良いものを持っていました。


 Yさんが亡くなりました後、若い跡取りはその焼き物の価値がわかりません。


 たまたま仕事に来ていた目の肥えた人に見せましたところ、その作品の今の値打ちを正直に教えて「大切にしなさい。いくら値上がりするかわからぬ」と忠言してくれました。


 その後、その人は「Yさんのことを思うと、息子さんを騙すような嘘が言えなかった」と言っていたそうです。



                才崎教会「みき」一七一号(昭和四九年三月号)より抜粋




 この父親の姿が私の師匠の姿に重なりました。


 師匠の教会の皆さんやお仲間達が、今も損得抜きに私にいろんな事を教えて下さいます。


 それは皆さんが先生を慕う思いがあってのもの。

 私も先生にして頂いたことを人にお返ししていきます。

 
 


今ここ 神様とともに

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