数年前 ある新聞記事にあったものを紹介します。
岩手県大槌町の海が一望できるある高台に
「風の電話」と呼ばれる電話ボックスがあるそうです。
これはある庭師さんが
「震災で亡くなった大切な人と、もう一度心を通わせてもらえたら」と考え
自宅の庭に設置したものです
この白色の木製格子でできた電話ボックスの中には
電話線は繋がっておらず
中には ダイヤル式の黒電話が一台
その横にはこういう説明書きが書いてあります
『風の電話は心で話します。
静かに目を閉じ、耳を澄まして下さい。
風の音または波の音が
あるいは小鳥のさえずりが聞こえたなら
アナタの想いを伝えて下さい
聞こえないと思ったら本当に何も聞こえません
でも、じっと耳を澄ませると何かが聞こえてきますよ』
この場所の噂は人づてに広まり
震災後の三年で約一万人が訪れたのだとか
それから10年が経過し 台風や老朽化などで存続が心配されました
けれども「こういう場所を無くしてしまったらイケない」と
いろんな人が協力して、今も花咲く広く綺麗なお庭の一角に存在しています
震災後にポツポツ人がやってくるようになって
訪れるのは家族連れや夫婦、友人同士など
大半の人が一人きりで入っていきます
受話器を手に静かに話しかける人
泣き続ける人
訪れても躊躇し電話ボックスに入れない人など
さまざまな姿があるのだとか
きっと今日も誰かが東北の電話ボックスの中で
青空の下想いを風に乗せ 大切な人と心を通わせているにちがいありません
考えてみますと
僕たちは 仏壇やご霊前 お墓などで手を合わせていますが
その実 こちら側から一方的に話しかけたり お願いするばかりで
みたま様の心を感じ取ろうとしていないってことが あるのではないでしょうか?
このことについて過日、僕の尊敬する先輩が教えてくれました
「これは感覚の世界です
今時の人で全然そういうのを感じない人がいるけれど、これは普段使っていないから その感覚が寝ているんです
そういう感覚を普段から使っていたら冴えてくる 出てくる
よく「感覚を研ぎ澄ます」と言ったりするけれど
何をどうすることが磨き澄ますことになるのかといえば
使っていたらいい
繰り返し使ってアンテナを張って受信していくんです
『御霊様は私に何を言うてるんかなあ』と
繰り返し思っておれば
なにか心に引っ掛かってくるものがありますよ」
どんな場所でも 時折 静かに深呼吸し心を鎮め
この「風の電話」の受話器に耳を当てたつもりになって
じっと耳を澄ませ 亡き方に声をかけてみることをしたいものです
きっと懐かしい声が聞こえて来ると思います
温もりが甦ってくると思います
続々尋求教語録147
足より信を可愛がる御信神をしなさい 信は大分気をつけておらぬと直ぐ錆びるからな よう磨け磨け と言うが 磨くより使いなさい 使えば磨ける 使うのが一番じゃ