自分が向いた方向
- いっきゅう

- 1月22日
- 読了時間: 3分
朝日新聞の「 私の折々のことばコンテスト2025 」において
高校生部門最優秀賞に輝いた
大畑さん(高校3年生)の文章を紹介させてください。
(以下)
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自分が向いた方向が前なんですよ
かつての同級生T
小学5年生の時の思い出だ。ひょうきん者のTは、毎日の給食時にはあっちこっちに顔を向け、周囲の人とふざけ合いながらご飯を食べていた。先生はもちろん「前を向いて食べなさい」と叱る。それへの返答が、この言葉である。上手いコメントだ。受け売りだったとしても、絶妙なタイミングである。
中学でクラスが離れ、違う高校に進学し、Tとは疎遠になっていった。けれども時を経るごとに、私の中で、ただの口答えであるはずのこの言葉が重みを増してゆく。進路の選択をしなければならないとき、自信を無くしたとき、記憶の奥底からこの言葉が蘇ってくる。自分の意思を信じて、あとは頑張るだけだよ、と言われているような気がするのだ。
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「本当の自分って?」自分探ししている人は
不審な態度でキョロキョロしている。
「自分は何が向いてるのだろう?」自分迷子な人は
アッチコッチへヨロヨロ、ぐるぐるしている。
「あの人と比べたら、私なんてぜんぜん・・・」いつも誰かと比べてる人は
横を向いている。
「どうせ私なんて。無理」自分を卑下している人は
うずくまっている。

高度経済成長期では、良い大学入って良い会社に入って終身雇用。
退職したら年金で暮らすんだっていう時代。
その時は景気も良くて「一生懸命学校で勉強していれば、コツコツ仕事してればよかった」みたいな。
そんなに今ほど悩まなかったと思う。
それが突然、「人生百年時代」とか「多様性の時代ですよ」とか言われるようになって「何したらいいんだ? どうしたら?」と。
「これだよこれ!」「これするために生まれてきた!」って言えるぐらいの、自分のやりたいこと、生き方の見つけ方なんか誰も教えてくれてない。
そうやって放り出されてるのが現代の私たちの姿なのではなかろうか。
SNSを見たらみんなキラキラ輝いているように見え、それと自分を比べて落ち込む若い人も多くいるらしい。豊かになったのになんとも息苦しい。
自分のやりたいことって何なんだろう
自分の好きなことって何だろう
それが心底「これだ」って見つかった時
「自分の向いた方向が前なんですよ」
この言葉が輝きを増すと思う
自分の人生にどんな意味があるのかっていうのを、
子供の頃から考える機会や、一緒に考えてくれる場所が世の中にあったら。
そういう場所の一つが 私どもの教会でありたい。


